困窮家庭の生徒を差別する学校
北海道余市の公立中学校で、修学旅行で配る旅行支援クーポンを、就学支援認定世帯の生徒だけに配っていなかったことがわかった。校長が「旅行代金を払わぬ家庭の生徒には配る必要なし」と決定したという。母子家庭に育ち、中学時代この種の支援を受けたことのあるぼくは、心が痛んだ。
▲3月15日、毎日新聞朝刊
毎日新聞によると、就学支援制度は、経済的な理由で学用品代や給食などの負担が困難な世帯の児童生徒を国や自治体が援助するもの。実は、ぼくも、中学時代、一時、この対象生徒だった。
そのことは母から知らされておらず、ある日、担任のおかちゅー(岡忠義)先生に職員室に呼ばれ、なにかノートと筆記用具のようなものを渡された。それがなにを意味するのかの説明はなかった。受け取って帰宅後、母に尋ねると「教育扶助」というようなことを言っていたと思う。当時のぼくはそれが、生活保護の一歩手前のように感じた。
その後、何度か現物支給があったが、ありがたかったという記憶はなく、2年生になったころには対象から外れていた。母が返上したのだろう。
その学校は大阪府豊中市立第一中学校。中学入学は大阪市立相生中学校。東成区神路町にあった。入学まもなくの6月7日、間借りしていた自宅が全焼、末弟が焼死した。すぐに母の兄弟の世話で豊中市に移った。焼け出されたばかりで残った2男1女を育てるのに窮した母が、転校先の小中校に学校経費の減免を申請したのだろう。
わずかな期間で教育扶助を返上できたのは、母の必死の頑張りがあったのだろうが、変にプライドが高く、世間知らずな僕が「肩身の狭い思いをしたくない」と理不尽にも母を責めたに違いない。まったく覚えていないが、ぼくならやりかねない。いまさらながら申し訳ないことをしたと、泉下の母に詫びたい。
そんな思い出とともに、新聞記事を読んだ。
修学旅行生31人のうち、支援対象の複数生徒(毎日には実数を書いていないが、翌日の道新によると7人)には旅行先の岩手県で、県発行の2日分の支援クーポン6000円分は申請されなかった。6000円分のクーポンで家族へのみやげを買う級友たちの姿を7人はどんな思いで見ていたのだろうか。
校長は彼らに「卑下する必要はない、それぞれに家庭の事情があり、恥ずかしいと思う必要はない」と言ったという。生徒が恥ずかしく思う必要がないのは親が公的な支援を受けることであって、そのことによって教育現場で差別をすることこそ、教育者が最も恥ずべきことだと気づかぬ校長。この人こそ教育とはなにかの再教育を受けるべきだ。
毎日新聞がクーポン発行元の岩手県に確認したところ、就学援助対象者がクーポンを受け取れない規定はないという。校長の偏狭な精神論的思い込みが差別とリンクしてしまったのだ。

毎日新聞によると、就学支援制度は、経済的な理由で学用品代や給食などの負担が困難な世帯の児童生徒を国や自治体が援助するもの。実は、ぼくも、中学時代、一時、この対象生徒だった。
そのことは母から知らされておらず、ある日、担任のおかちゅー(岡忠義)先生に職員室に呼ばれ、なにかノートと筆記用具のようなものを渡された。それがなにを意味するのかの説明はなかった。受け取って帰宅後、母に尋ねると「教育扶助」というようなことを言っていたと思う。当時のぼくはそれが、生活保護の一歩手前のように感じた。
その後、何度か現物支給があったが、ありがたかったという記憶はなく、2年生になったころには対象から外れていた。母が返上したのだろう。
その学校は大阪府豊中市立第一中学校。中学入学は大阪市立相生中学校。東成区神路町にあった。入学まもなくの6月7日、間借りしていた自宅が全焼、末弟が焼死した。すぐに母の兄弟の世話で豊中市に移った。焼け出されたばかりで残った2男1女を育てるのに窮した母が、転校先の小中校に学校経費の減免を申請したのだろう。
わずかな期間で教育扶助を返上できたのは、母の必死の頑張りがあったのだろうが、変にプライドが高く、世間知らずな僕が「肩身の狭い思いをしたくない」と理不尽にも母を責めたに違いない。まったく覚えていないが、ぼくならやりかねない。いまさらながら申し訳ないことをしたと、泉下の母に詫びたい。
そんな思い出とともに、新聞記事を読んだ。
修学旅行生31人のうち、支援対象の複数生徒(毎日には実数を書いていないが、翌日の道新によると7人)には旅行先の岩手県で、県発行の2日分の支援クーポン6000円分は申請されなかった。6000円分のクーポンで家族へのみやげを買う級友たちの姿を7人はどんな思いで見ていたのだろうか。
校長は彼らに「卑下する必要はない、それぞれに家庭の事情があり、恥ずかしいと思う必要はない」と言ったという。生徒が恥ずかしく思う必要がないのは親が公的な支援を受けることであって、そのことによって教育現場で差別をすることこそ、教育者が最も恥ずべきことだと気づかぬ校長。この人こそ教育とはなにかの再教育を受けるべきだ。
毎日新聞がクーポン発行元の岩手県に確認したところ、就学援助対象者がクーポンを受け取れない規定はないという。校長の偏狭な精神論的思い込みが差別とリンクしてしまったのだ。
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