日本語教育能力検定

ちょうど1週間後の日本語教育検定を受験する。それはぼくにとって、昨年10月末から続けてきた日本語教師になる勉強の、区切りのイベントになることは間違いない。日本語教員を目指す者たちがよき職場を得るため、あるいは自己の能力を再点検するため、などいろんな目的をもって年1回の「戦場」に臨む。ただし合格者は受験者の4人に1人という難関だ。

 法務省が告示する日本語学校の教師になるには➀「日本語教育能力検定試験」に合格する➁学士の学位をもち、文化庁認定の「日本語教師養成講座(420時間)」を修了する③大学または大学院で日本語教育に関する主専攻プログラムか副専攻プログラムのいずれかを修了するーの3つの道がある。

 ぼくの場合、➁を選択して昨年10月末から、Human Academy札幌校でE-ラーニングやZoomを使ったオンライン授業、札幌校での対面授業(教育実習)を420時間受けて先月17日付けで終了した。
IMG_2146.jpg▲420時間講座。ぼくの成績表
 
 そして腕試しのつもりで➀も受験することにして、それなりに準備はしてきたが、これがおそろしく難しい。➁では全15科目のうち、1科目Bを除いてすべてA評価をいただいたが、➀の過去問題を解いてみると、正答は50%程度しか得られない。なぜか。

➁の場合、科目ごとにある期末テストは習った通りの基礎的な出題であるのに対し➀は基礎的な知識を別の角度から考えさせる応用問題が多い。しかも➁の期末テストは、制限時間(1時間)の半分で最終問題まで到達できるが、➀は、過去問をやってみると、迷うことなく10秒ほどで次から次に解いて、マークシートに記入していかなければ半分にも到達できない仕組みになっている。

第1部100問(90分)第2部40問(40分)第3部80問+文章題1題(90分+30分)からなる。

➀の受験準備を指導してくださる専門家によると、各部それぞれ、制限時間の3分の2で最終問題まで解答を到達する(難問はパス)。残りの3分の1で、パスした設問に再トライする、というストラテジーが必須。難問に時間を取って最終題に到達できないのは愚策だという。

 実際に複数の年度の問題を取り寄せ、専門家のおっしゃるとおりにやろうとしたが、やはりつっかえる。所要のスピードを得ること不可能だった。

 なぜこんなむちゃな能力が要請されるのか。それは実際に教育現場にきて、所定の時間内に、授業計画を達成しなければならない時、学習者の質問に時間を掛けず、打てば響くように答えられるのを理想の日本語教師像として設定されているのだろう。

 これからさらに厳しく求められる日本語教師像がこれ。「うーん、難しい質問ですね。調べて来週説明します」ではダメなのだ。

 ➀の問題を見ると、とても現場未経験の先生のタマゴ以下のわたくしごときでは解けない難問がいくつもある。 

そうか、わかったぞ。420時間コースを終わったばかりのキタのような立場の者にとっては、過去問を徹底的に解いて「傾向と対策」(古い)を完全に身につけなければ、この能力検定をパスするのは不可能に近いと考えるのがまっとうなのだ。

 キタの通う大学に、中国の留学生から事務職員に採用されたばかりの女性が、昨年の➀で一発で合格した、と聞いた。はじめはへえ、と驚く程度だったが、過去問をやってみたあとでは、「その中国人女性は天才的記憶力と受験テクニックの持ち主」と思うしかない。

 1週間後の➀受験。合格を完全に諦めたわけではない。最後の最後まで努力して臨もう。ことしは不合格のお試し受験になってもよい。現場に出てからも、現場の体験を生かして再受験しよう。単なる受験テクニックでない「力」で合格する日を胸に来週のきょう、戦場に向かおう。








 




この記事へのコメント