「気骨な」女優とは?

新聞のラジオ・テレビ欄の番組タイトルを見ていると、時々、珍妙な表現に出くわす。この前の日曜だったか、「マツコが『気骨な』女優No.1と評価する満島ひかり・・・」というのがあった。気骨なって?
IMG_1801.jpg

「性根の座った」「信念をしっかり持つ」という意味で「気骨がある」という言葉がある。これをつづめて「気骨な」、としたことはまあ、想像がつく。しかし、日本語には「気骨だ」という形容動詞はまだないはず。

 ちなみに、形容動詞は日本語教育文法では「ナ形容詞」と呼ぶ。国語教育で習う形容詞は「イ形容詞」と呼ぶ。つまり形容詞と形容動詞をひとまとめにして同じ働きをする「形容詞」として扱う。

 これも日本語教育養成講座を受けるようになって知ったのだが、形容動詞はもともと、名詞から転じたものらしい。Wikipedeaによると、「形容動詞は、平安時代に形容詞が不足したとき、形容詞で表現できない意味を持つ名詞を語幹として「なり(←助詞「に」+動詞「あり」)」または「たり(←助詞「と」+動詞「あり」)」をつけることによって成立した」とある。

そして、たとえば、「清廉」「波乱万丈」などは、古くは「清廉の人」「波乱万丈の人」と名詞として使うのが普通であったのが、現代では人・文脈によっては「清廉な人」「波乱万丈な人生」のように、形容動詞として使う人も多いのだそうだ。

 なるほど、新聞をよく見ていると、こんなタイトルもあった。「旬なトピック」。「旬な」は今どきの、という意味か。ちょっと昔は「ナウい」といったなあ。いま、「ナウい!」というと、「古ウ〜」といわれてしまうが。
IMG_1802.jpg

日本語は動いているのだなあ。

この記事へのコメント